「国立多磨全生園の将来構想に市議会は何ができるか」

令和4年7月に9人の議員が参加して始まった政策研究会「多磨全生園の将来構想に市議会は何ができるか」は、
令和5年2月に調査研究を終え、議長に報告書を提出しました。

報告書の内容
市議会議長 土方 桂 様
政策研究会「多磨全生園の将来構想に市議会は何ができるか」報告書
私たちは、国立療養所多磨全生園(以下、多磨全生園と呼ぶ)の歴史を今に伝えるさまざまな遺構が次第に姿を消し、科学的な誤解や社会的な偏見・差別によりハンセン
病患者に対して行われてきた、 人権蹂躙の史実までが消し去られるのではないかとの危惧を抱いています。
史実を裏付ける園内の遺構は、わが市のみならず国民全体への人権啓発の貴重な財産として、将来に向けて、可能な限り保存されていくべきであると考えます。
多磨全生園の所在するまちの議会として、東村山市議会は平成 21 年に「いのちとこころの人権の森宣言」を議決しています。市民の代表である市議会が、多磨全生園
創立百周年を機に元患者さんの慟哭の叫びを市民に訴え、将来に向けて伝えていくことを決意したものです。それから 13 年を経過した今、あらためてこの問題と向き合
い、宣言の精神に基づき「市議会には何ができるか、また何をすべきか」について、調査、研究、そして議論を重ねてまいりました。
私たちはこの問題の解決に向けて取り組まれてきた様々な立場の方々から、以下、10 回にわたり研究会を開催し、うち6回は外部より講師を招き、 ご意見をうかがう場
を設けました。
第1回 令和 4 年 7 月 13 日(水)
メンバーによる意見交換

第2回 令和 4 年 8 月 12 日(金)
「いのちとこころの人権の森宣言」を読み解く
講師:黒尾和久 国立ハンセン病資料館元学芸部長

第3回 令和 4 年 9 月 22 日(木)
人権の森構想と東村山市の取組みについて
講師:小倉宏幸 東村山市経営政策部 企画政策課長

第4回 令和 4 年 10 月 6 日(木)
全生園に携わる市民団体等から学ぶ(1)
講師:澤田泉 NPO 法人東村山活き生きまちづくり 理事長

第5回 令和 4 年 10 月 13 日(木)
ハンセン病と多磨全生園への理解を深める
講師:儀同政一 国立ハンセン病資料館講師

第6回 令和 4 年 10 月 31 日(月)
全生園に携わる市民団体等から学ぶ(2)
講師:代表 藤崎美智子
全生園の明日を共に考える市民の会

第7回 令和 4 年 11 月 7 日(月)
全生園に携わる市民団体等から学ぶ(3)
講師:新保庄三 社会福祉法人土の根会
    花さき保育園 理事長

第8回 令和 4 年 12 月 19 日(月)
メンバーによる意見交換
第9回 令和 5 年 1 月 25 日(水)
メンバーによる意見交換
第 10 回 令和 5 年 2 月 9 日(木)
メンバーによる意見交換

私たちは、8か月にわたる調査、研究や相互の意見交換を通して、私たちの政策研究会としての取組み自体が、その第一歩であったと認識しています。この問題の解決に向けては、議会は何らの権限も義務も有していません。だからこそ、さまざまな制約にしばられることなく、国家権力により一生涯を拘束された元患者さん達の声を、広く国民に、将来に向けて伝えていくことができると考えます。
さまざまな角度からのお話を拝聴し、テーマである「市議会には何ができるか、また何をすべきか」について、私たちが共通の認識の立った以下の2点について決意し、
今回の活動の結びといたします。

① 多磨全生園を、将来にわたり国の人権学習の拠点としていくこと。
② 多磨全生園における国策による人権蹂躙の歴史を踏ま え、市民と共に今後も人権啓発のあり方について    研究や議論を継続して行っていくこと。
               以上

令和 5 年 2 月 28 日
政策研究会
「多磨全生園の将来構想に市議会は何ができるか」
座長 伊藤 真一
朝木 直子
浅見 みどり
かみまち 弓子
佐藤 まさたか
白石 えつ子
藤田 まさみ
山田 たか子
渡辺 英子