2/13 七生養護の「かがやけ、性教育」が認められた

障害児・者性教育サークルセミナーに参加しました。

元七生養護の日暮先生の実体験からの「かがやけ、性教育」裁判の闘いを詳細に伺いました。
長文ですが大事な箇所を書いています。
忘れずにいきたいです。

今ふりかえる、七生養護の性教育
〜そして、これから

暴れる子どもたちの抱える成育史には、教員にも想像を超えるものがあった。
父親が誰かわからない状況の中で生まれ、食べ物も与えられず育児放棄した母親から捨てられ、物乞いをしているところを保護された子。
無理心中され、一酸化炭素中毒の後遺症が残っている子。
凄まじい暴力を受け、手にたばこの火をつけられた傷や包丁で傷つけられた跡が残っている子。
夜の街をうろついているうちに「薬」の運び屋をさせられていた子など障害を持って生まれた上に、更につらい過酷な体験の中に生きている。
子ども達の背景に、今の子どもたちの様子を重ねてみていく作業を通し、教員たちは気づいたのです。

「私たちは、子どもたちに伝えることばかりを、考えてはいなかったか」
「子ども達は暴力とも思える行動・表現を通し、訴えていたのではないか」

私たちは、子どもに何か伝えることより、子どもの内面の声を聞き取ることの方がずっと大事なのではないかということに気づいた。

本当は人と関わりたいのに上手く関われない気持ちや、出口の見えない不安の中で、自分を傷つけることでしか生きられない苦しさを、少しずつ理解していったのです。

子どもたちの心の声を聞き取ることの中で、傷ついた子どもの声を聞き取る大人の側も傷つくことがあり、一人の教員が頑張ることでは解決できないことや教員が互いに支えあうことの大切さを学びました。

学校がどの子にとっても安心できる場になること、優しい居心地の良い空間になることを何度も確認しあっていった。居心地の良い空間・安心できる場所は、学校全ての場所がそうなっていった。子どもが不安になり、立ち寄った場所の大人たちは必ず受け入れていました。追い込むことはせず、ゆったりと構え、優しい声かけをしていました。

そして起きた性教育への政治介入事件!
裁判の判決内容
裁判で勝ちえたもの
① 保健室での都議の行為が旧教育法10条1項の「不当支配」に当たること
② 都教委は都議の「不当な支配」から教員を守るべき保護義務を怠っていたこと
③「厳重注意」は裁量権逸脱として慰謝料を認めた

東京地裁の判決内容
1 .教員の創意工夫を大切にした内容
性教育は、教授法に関する研究が浅い。
性教育の内容が不適切であるとして教員に対する制裁的取り扱いがされれば、教員を委縮させ、創意工夫による教育実践の開発が妨げられ、性教育の発展が阻害されることにもなりかねない。
2 .教育委員会は教員を「不当な支配」から保護する義務がある。教育行政の内容には、教育条件整備義務が含まれる。地方公共団体は、その義務の内容として旧教育基本法の目的・趣旨に従い、教育の公正、中立性、自主性を確保するために学校の教員を「不当な支配」から保護するよう配慮すべき義務を負っている。

東京高裁判決内容
1 「こころとからだ」の学習を高く評価
学校全体として、校長を含む教員全員が共通の理解の下に、生徒の実情を踏まえ、保護者等とも連携しながら、指導内容を検討して、組織的・計画的に性教育に取り組んできたことは、望ましい取り組みであった。
都議及び都教委らは、障害のない子どもと比較して、障害のある子には、性に関する知識を、より遅い時期に、より限定された情報を、より抽象的に教えるべきと考えていた。しかし、障害のある子は肉体的にも障害がない子と変わらないのに、理解力、判断力、表現力、適応力等が十分ではなく、性の被害者あるいは加害者になりやすいことから、むしろ、より早期により平易に、より具体的(視覚的)に、より明瞭に、より端的に、より誇張して、繰り返し教えるという考え方も十分に成り立ちうる。
2 学習指導要領の法的拘束力を限定し現場の自主性を尊重
〇学習指導要領は、最低限度の基準である以上、明確に禁じられていない限り、許容される。
〇学習指導要領は、その一言一句が拘束力すなわち法規としての効力を有するということは困難。大枠を一脱しない限り、教育を実践する者の広い裁量に委ねられている。

教育委員会は、教員の創意工夫の余地を奪うような細目にまで渡る指示命令等を行うことは、許されない。

そして、これから
性教育がこれだけ標的になるということは、ここに標的にした方々の弱点があるのではないかと思います。

七生を攻撃するために学校に登場した人たちは,真理や科学を極端に嫌いました。
そこに人間としての気づきや、人権の学びがあることを恐れていたのだと思う。

そうであるならば、なおさら性教育を位置づけることが、あるいは実践をつくり広げていくことこそが大事なのではないでしょうか。

実践を止めない。細々でも粘り強く、攻撃をうまく交わしながら、実践を作り出して行きましょう。

七生裁判の判決は、それを後押ししているのです!!

失われた15年を少しでも取り戻すべく、
包括的性教育を拡げていきたいと思います!

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