不登校特例校を見学 八王子市立高尾山学園
「待つことの大切さが随所にありました」
八王子市にあります不登校特例校(教育課程特例校)「高尾山学園」に見学に行ってきました。
民間企業でエンジニアを経験された民間からの校長登用。黒沢校長先生は、パワフルで子ども大好きな方でした。
子どもにとり学校は?
楽しく、安心でき、自分で行けて、仲間がいると思う子に対して、苦しくて怖くて行くのは義務的で孤独な場所と感じている子もいるのが学校。
不登校とは?
心理的、情緒的、ないしは何らかの社会的要因や背景により、登校しないまたは登校したくない児童・生徒で、病欠など以外で年間欠席日数が30日を超える場合をいう。
不登校の主訴は?
様々な傷つき体験・教師不信など。対人・学力・将来に不安を抱えている。
今までにない不登校対策校として設立
・状況に応じ、一人一人の心の安定を図り、適切な学習支援と集団生活の中で人間関係をより良く保つ力を養う
・生きることへの自信と社会的自立(社会性)の獲得
*まずは家から出すこと→次に人との関わりや学力へ段階をゆっくり進めています
転入までの流れ
相談見学を年間4回から2020年度は10回へ
まずは、やまゆり教室体験 見学→相談→通級
次に高尾山学園転学 学校サポーターが付き添う
見学→学習体験→生活体験
校内体制
登校支援チームがサテライトオフィスの役割を担う
福祉的側面を補うSSW6名配置を2020年度からは10人体制に。小集団や個別指導も用意されています。
カリキュラム総時数
760時間程度(内:講座は年間120時間程)授業のカリキュラムも選択制でB,Cコースがあります。その日に決める仕組み。授業は45分。
ICT活用は、パナソニック財団の助成を受け、タブレット学習支援も組まれてます
不登校対策事業に、年間約4800万円八王子市の予算が割かれているのは大きいです。
高尾山学園99名 やまゆり教室77名 小学4年〜中学3年が通学。中学生は電車やバスを乗り継いで通学。
小学生は通学送迎あり。授業がつまらなければプレイルームで過ごしてもOK。プレイルームはクールダウンできる場であります。プレイルームに負けない授業を心がけることを目標の先生もいます。
相談体制の強化
子どもも保護者もいつでも相談できる人員を確保。たわいのない何気ない話の中に支援や課題のヒントが隠れていると言ってました。だから常に誰かがいる。経験値の積み重ねあればこその成果と思いました。
個別指導計画を中心に関係者が連携を取りながら目の前の子どものために力を、出し合っています。
学校サポーター制度の効果
担任以外の目と手があることで、担任は余裕を持って授業の組み立てなどに力を注げるよう配慮されています。教員には学園理解研修、OJT教育も取り入れています。
黒沢校長は、不登校と特別支援教育は分けて考えるべきと述べてました。
発達に課題があることをどうするかを一緒に考えていく。まず3ヶ月様子を見てから、個々の学習支援やカリキュラムを組んでいます。
家庭に課題がある子も存在する。家庭での社会性を育む経験値が少ない。
一例として横浜中華街に社会科見学に行き、中華料理を見て初めて食べると驚いた子もいた。
学校でも家庭でできていると決めつけずに様々な体験講座を増やすことで、自己肯定感につなげ、社会で生きていく上で不利にならない配慮もされています。
音楽や美術で自己表現
個性や感性が出せる大事なツールとして、音楽や美術にも力を入れていました。
地域交流
地域に学校を開くことで、地域の方々が講師になり農業を通して、土を耕し種を蒔き草取り収穫まで一年を通しての作業を経験することで人とのコミュニケーション能力も養われています。
学校が多様な人達の居場所になっていました。
体育館で生徒は縦割りなので混じり合って先生も一緒に卓球など楽しんでました。教える側教わる側の関係がフラットに感じられました。
「教室に子どもはいるものとの当たり前を変えていくべき、そして、子どもをどれだけ思えるか、学校や教室が楽しければ不登校はいなくなる」と校長の弁。そのような理想的な環境にするには、どうするべきか、当事者のみなさんと考えていきたいと思いました。
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