報告「バーチャルツアー “北欧から学ぼう!自治体がつくる平等と福祉”」
7月21日
立川女性総合センターアイム。女性政策研究家三井マリ子さんの講座「バーチャルツアー “北欧から学ぼう!自治体がつくる平等と”」に参加した。全国フェミニスト議員連盟主催サマーセミナーの一環だった。
世界有数のジェンダー平等と福祉で知られる北欧5か国は、歴史的にも地理的にも共通項は多いが、防衛や外交などを除いて、平等や福祉などの政策のすりあわせを行いつつ、ともに進めているのだという。
北欧5 か国を巡って女性政策を探ってきた三井さんは、わかりやすさからノルウェーに絞って調査研究を続けるようになったそうだ。長年、カメラにおさめてきた無数の写真から、「公共空間の男女像」がスクリーンに映し出された。
まず、堂々と空を見あげる巨大な女性と台座にちょこんと立つ小さなサイズの男性という日本とは真逆の男女像。
皇居にあたるオスロ王宮公園に建つ女性像は、「ノルウェー女性解放の母」と呼ばれる著名な作家で、シングルマザーとして生き抜くため小説を書いたのだという。
そして、熊になった王様を救う勇敢な女性が主人公の昔話の彫像。19世紀の紡績工場で働く少女たち。「女中」として働いた後、年金生活者となって毎日市場にでかけていく笑顔の女性。古い民謡を集めて書き残した民謡伝承家の女性。国境を超える鳥のようにと表現された手をつなぐ3人の女性像・・・。

次々に映し出される女性像と三井さんの解説から、私は「あらゆる立場の女性の銅像が街にそびえているんだなあ」と驚いた。
ノルウェーでも19世紀は男尊女卑だった。しかし、そんな時代であっても、将来に希望を持ち懸命に生きた女性はいた。その女性たちを公共空間に顕彰することで、人権を尊重しあう社会をめざしているのだろう。なぜなら、このような女性像を通り過がりに見るノルウェーの子どもたちは、固定観念から解き放たれるはずだからだ。三井さんは、「制度や統計だけではなく、私たちは五感で学ぶことが多いのです」と言った。
「公共空間の男女像」の次は、「ある自治体の平等と福祉」
オーモット市の市長のスピーチには胸を打たれた。
「予算の多くは国から来ます。自治体は最低限のサービスは整えなければなりません。ここは人口4000人余りですから、小学校1 校でも違法ではありませんが、1校では子どもが遠距離通学となるので3校作りました。教職員数も基準を上回って採用しています。北欧福祉国家と言われますが、正確には北欧福祉地方自治体なのです」
こうした福祉と平等を可能にする法制度にも三井さんは言及した。「ノルウェーの地方自治法の核心は、公共の事務は住民に最も近い行政レベルに割り当てられるべきである」ということ。

市長と一緒にサッカー観戦をする看護師や利用者達の写真。市長が来たらははーっと、大袈裟に迎えないノルウェー!
選挙期間中に模擬選挙運動をする小中学生にも感銘を受けた。小中学校向けガイドラインには「学校は、子どもたちや若者が民主主義を実践的に体験する場でなければならない」と記載されているという。
以上のようなノルウェー社会を支える「民意を反映する比例代表制中心の選挙」については、三井マリ子さんの著書『さよなら!一強政治:小選挙区制の日本と比例代表制のノルウェー』(旬報社)に譲りたい。
平等や福祉の国ノルウェーに実際に訪れたいと思えたバーチャル講座でした。
白石 えつ子(東京都東村山市議会議員)

