12/23 第12回平和の集い「全生園から人権を考える」を開催!
新型コロナ禍の現状と重なる部分があるため、再掲します。
2019年国立多磨全生園は、110年目を迎えました。
ネット会員メンバーの皆さんと江戸川ネット、日野ネットからも駆けつけてくださり、一緒にハンセン病の歴史を学ぶ機会になりました。最後には、園内にあるお食事処「なごみ」で、愛情いっぱいの釜飯も美味しかったです。平和の集いにご参加頂きました皆様、ありがとうございました。
元患者で、回復者の人権回復のために語り部としても活動を続ける平沢保治さんのご講和のDVDを拝聴し、壮絶な強制隔離の人生を伺い、ハンセン病を恐れるあまりハンセン病に罹患した人まで排除してしまった誤った歴史が確実にあったことを改めて確認することができました。
ハンセン病治療薬プロミンの開発は、患者に取り、希望の光でした。諸外国では、ハンセン病のごく弱いらい菌は移らないと証明されたにも関わらず、ハンセン病は治る病気だったのに、新たな人生が開けていたのに、それも医師がハンセン病は移る病気だと誤った発言を国会で進言したことで、隔離は強化継続され、無らい県運動へと発展していきます。同じ人間でありながら、ハンセン病を恐れるあまり、ハンセン病になった人まで排除したことで、大きな悲劇を生みました。自分達の心の奥底にも潜んでいます。差別や偏見を生まない社会を地域からと実現しようと改めて決意しました。
平沢さんは、14歳でハンセン病の宣告を受け、全生園に入所されました。
医者からは、療養所は竜宮城のような場所だから、しっかり直してくればいいと言われたそうです。
家族が恋しくて、望郷の丘の上から故郷の方角を眺めては、母親や家族の名前を呼ぶんだそうです。
14歳には過酷な環境であり、想像を絶するものがあります。人間としてはみなされず、名前も捨てて、偽名で入所生活を強いられました。高い泥壁がひいらぎの垣根が、逃走を阻み、様々な厚い壁が立ちはだかっていました。
ハンセン病を描いた映画「厚い壁」を、学校などで定期的に視聴することが、差別に気づき、いじめをなくすことにもつながるのではと考えます。
平沢さん達入所者は、旧優生保護法により、不良な子孫を残さないため、断種手術を余儀なくされました。入所者同士の結婚は認めるが子どもを持つことは許されませんでした。もし、生まれた場合は、看護師が濡れた紙を顔に被せ、自然窒息死をさせるのです。命を救う立場にあるべき、医師と看護師がいのちを奪う行為に加担してしまう。相模原で起きたやまゆり園での知的障がい者達を殺めた事件と重なりました。人のいのちを生産性のあるかないかに価値を置く捉え方に恐ろしさを感じます。旧優生保護法は、1996まで存在していたことで、知的障がい者や精神障がい者も本人の同意なく、法律を盾に断種手術が密かに日本でも最近まで行われていたのです。優生保護法は、ナチスに由来するものです。世が世ならば知的障がいのある息子も強制断種手術の対象だったと思うと、背筋が凍る思いです。国策の誤りは誰が責任を負うのかと問い質したい気持ちです。旧優生保護法により強制断種手術を受けた被害者が損害賠償を求め国を控訴していますが、裁判では「損害賠償を請求する期限は既に消滅している」と請求を退けています。国策の誤りを認め、損害賠償請求に応えるべきだと感じます。
平沢さんの言葉には、ほんとに驚かされることばかりです。恨みを恨みで返さない。この病気になったことで、これまでも多くの人達に出会うことができました、感謝で返していきたいと。未来ある子ども達に、ハンセン病を正しく知ってもらい、差別で悲しい人をつくらないことを伝え続けていきたいと、現在も語り部として活動してらっしゃいます。
今までも数々の作品にハンセン病は描かれてきました。宮崎駿監督の、民族同士が争う「もののけ姫」、名前を変えさせられる「千と千尋の神隠し」や松本清張著「砂の器」があります。新しい作品では、樹木希林さんと永瀬正敏さんと市原悦子さんが出演された「あん」東村山のあらゆる名所が出てきます。どら春は、栄町にセットを組んでいたので、東村山ネットの事務所とは目と鼻の先でした。当時は選挙中ゆえ、緊張もあり全然気づきませんでした。残念!
ハンセン病は、本人に留まらず、家族も迫害を受けていました。一家心中や家族離散など日常的に公然と差別されてきた被害者です。今回家族も被害者として認めるべきとの損害賠償を請求した裁判が起こされ、国が非を認め勝訴したことは、喜ばしいニュースです。がしかし、亡くなっておられる方も多く、遅すぎるとの感は否めません。
今、新型コロナウイルス感染症予防対策により、国立ハンセン病資料館は完全予約制で見学可能です。ぜひ、ハンセン病を正しく知って恐れることが必要です。今、新興感染症新型コロナウイルスによる感染者と家族や医療従事者の方々までも差別する動きがあるのは、本当に悲しいことです。私にも誰にも差別する気持ちは奥底に潜んでいます。今、同じことを繰り返さないことを学ぶ機会を与えてもらったんだと私は感じます。過去から謙虚に学ぶ意識を持ち合わせていきたいと切実に思っています。
新型コロナウイルス感染症の収束を願う思いは一緒です。
ぜひ、東村山市にある全国で唯一の国立ハンセン病資料館を訪れてください。ハンセン病を通して、人権を考えることができる唯一の場所です。入所者の皆さんが身を削る思いで、全国の療養所を周り、入所者の尊厳回復を願い集めた貴重な資料が展示されています。強制隔離の恐ろしさの歴史と隔離された中で懸命に必死に生きた証を知ることができる空間です。国立多磨全生園の園内も散策できます。
誰もが当たり前に持つ基本的人権が尊重され、多様な価値観を認め合えるまちづくりを地域から今後も進めていきます。
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