10/4 首都圏若者サポートネットワーク 主催シンポジウム

社会的養護から巣立った若者を応援する
〜困難を乗り越えられる社会・地域へ〜

児童養護施設卒後の当事者だけでなく、ほぼ手弁当で寄り添う伴走者も同時に支援することを主眼に、生協のカンパやクラウドファンディングなどで呼びかけをおこなう貴重な活動が報告されました。会場は、超満員、関心の高さが伺えました。

パネラーのみなさんのキーワード
制度の切れ目を埋める【伴走型支援】の必要性何度でもやり直しのできる社会へ

元厚労相事務次官村木厚子さんの優しい語り口
大阪に単身赴任されていた頃、自分は何が一番気になるのか?考える時間になったそう。
それは、子どもの虐待だった。
これこそ大人の責任。

日本の赤ちゃんの出生率は、第二次ベビーブームから下降の一途。
今の子どもは恵まれていると言われるが、現実は?
今は、過剰労働にある時代。30代の男性が育児に関われる時間は1時間程度。母親に育児負担がかかってしまう。専業主婦ほど切実な問題。一人親ならなお厳しい。

恵まれているように見えてしまう日本の子どもの貧困率 13.9%(平成28年度)
相対的な貧困率 50.8%

消費税率引き上げで、社会保障の充実を唱い、約7000億円が充てられるはずだが、やはり高齢者に予算がつく割合が高い。
選挙に行く高齢者は強い。選挙権のない子どもの政治色は弱いため予算は割かれていない。子育ても、身近に相談できる人がいない、叱ってくれる人もいないとなれば、必然的に産みにくい、育てにくい環境になっている。

子育てしにくい、産みにくい中で、社会全体の問題である子ども達の命が脅かされる虐待の現状は?第三者が虐待の疑いで通報できるようになった点はよいが、虐待相談件数 122578件(平成28年度)
その内一時保護 20175件。児童養護施設入所 4845件厳しい数字。

被虐待経験のある子ども達が大半を占める。障がいのある児童の虐待、多種多様な障がいの中でも知的障がいは、3685件と断トツに高い。最初から障がい児をどう育てればいいのか、受容できないのだと思う。
自分も知的障がいの息子を育てる立場から分析する必要を感じました。

村木さんが最後に取り上げた車椅子利用者である小児科医の熊谷晋一郎さんの言葉、
「依存先をたくさん持つこと」、親以外に依存先を持つことが、社会とのつながりを深め、孤立を防いでいくことになる。私も以前別の講座で拝聴しこの言葉を大事にしています。

アフターケアセンターゆずりはの高橋亜美さんの報告。
社会的養護の若者達は、児童養護施設卒後、親や家族を頼れない環境にありながらも、自立を押しつけてきたのかもしれないと自戒を込めて話されていました。
支援だけして市役所にいくのよと送り出しても手続きは様々だし、一ヶ所ですまなければなお難しい。だから、支援には伴走者が必要と。将来に夢を持てる環境を望んでいることを伝える場面では、涙声になっていました。自分事にできているおとながちゃんと存在していました。

自立援助ホームつばさの家前川さんは、
今、自立援助ホームは、全国に161箇所あります。児童福祉法が一部改正され、今は20歳まで、大学在学なら22歳まで施設入所が延長されるようになりました。でも、入所の子ども達は、貧困や虐待など様々な深い傷を負っています。何らかの障がいも持ち、グレーゾーンに位置している。ほぼ手帳不所持のため福祉サービスも受けられない割合が28.5%いる。高校も中退や仕事も離職してしまう可能性が高いため、退去後の支援に力を入れている。いつでも実家のように戻れる、やり直せる場所にしている。法外のステップハウスで、家計相談などの含めた金銭管理や自立移行支援事業を活用し自立への道につなげている。

頼る人が居なければ、困るのは当たり前。安心して相談できる、助けてと言える場所を増やしていきたい思いは、皆さん一致していました。

サポートネット池本さんからは、チャリティー自販機を設置し、お茶など購入すると6%が基金へカンパになるしくみを紹介。
どう見える形で支援できるかと思われている方には、参加しやすいシステムだと感じました。貧困も虐待も身近にあるもの。個人の責任にせず、社会の問題として捉えていくべきことと改めて感じました。

第2部では、生活クラブ連合会伊藤さんからの報告。今や自助も限界、公的な仕組みには制約がある。地域資源を活用し、協働、共助の環境作りが今求められている。

現場で直接関わる方々からの貴重な発言に頷くことばかりでした。どんな環境にあっても、地域で助けてと言える、そして伴走型支援が許される環境に取り組んでいきます。環境が整うことでその人らしく生きていける地域になっていきます。貧困も虐待も障がいも特別なところでおきているのでなく、身近でおこっています。私も障がいの子どもを育てる当事者として情報発信していきます。