6/20 種子法学習会第3弾!【種子】DVD上映会
雨の中16名の方にご参加いただきました。ありがとうございました。
【たねを守ることは自立する権利を持つ】
タネはすべての人の源。
ラテンアメリカでは、自然のままの状態を保ったネイティブのタネと、地域に適応させた固定種をクレオールのタネと呼ぶ、先祖から受け継いだ土地でタネを蒔きタネを取る、そのいのちのタネを次世代につないできた。タネを語る人達のまなざしが素朴であったかい‼この当たり前の暮らしを脅かしてはいけないと感じます。
歴史を遡ると、第二次世界大戦後、品種改良されたタネと化学肥料、農薬3点セットを用いる農業、いわゆる「緑の革命」が登場。
「緑の革命」の核になるのはタネ。
タネを開発した企業に工業製品と同様に知的所有権を持たせる条約が作られます。その国際条約がUPOV(ユポフ)です。
農家がタネを保存するのは偽造罪にあたると変化し、1991年UPOV条約が改正され農家が自家採取することもタネの育成者の承諾がないと許されなくなります。育成者権以上の問題が「生命への特許」。工業製品と同等のことを遺伝子組み換えされた生命体に特許を認める判決が米国最高裁で決定します。
農業に進出した遺伝子組み換え企業が、世界の種子市場の買収により、今やモンサント、シンジェンタ、デュポン、ダウ、バイエル、BASFの6社が種子市場の7割弱を独占する状況を招いています。
アフリカやアジア、ラテンアメリカでは7〜8割の農家がタネを自給しているため独占されても困らなかったのですが、企業が農家からタネをとりあげる動きとして「モンサント法案」が出されます。世界各国では、法案に対して反対運動が様々起こっています。
一方、日本の種子法廃止の理由は、「現在の種子法が民間企業の投資意欲を阻害する。対等な競争ができない」とするものでした。
しかし、種子法は1986年に改訂され、民間事業者も種子制度の担い手として活躍できる制度づくりは整備されてきました。
実例として三井化学の「みつひかり」、住友化学の「つくばSD」などは都道府県の産地銘柄に指定され、栽培がおこなわれています。
現にセブンイレブンや吉野家のお米や外食、中食など業務用米に使用されているので、民間企業参入を妨げる理由にはあたらないこともわかります。
種子法の成果
・安定した価格で提供されてきた
・地域にあった品種が開発されてきた
・多様な品種が維持されてきた
・種籾は国内で完全自給できていた
種子法廃止で危惧されること
・規模の小さな地方の品種は捨てられる
・タネの値段が最大10倍と大幅に上昇する
・農業試験場の規模縮小、技術者の移行
・種採り農家が種採りを継続できなくなる
種子法の成果や廃止で危惧されることを考えると私達の主食である米
米の種籾には、4年かかり、綿密な計画のもと300品種の米の品種を残してきた。
この多様性を失ってはならないと思います。
世界では、2008年以降、農業の大規模化、工業化を推し進めてきた国際機関が方針を大幅に変えました。FAOも大規模化でなく、地域における小規模家族農業の重要性を認めています。2014年には国際家族農業年となり、2019年〜2028年を国連「家族農業の10年」とした世界の動きに日本は残念ながら乗れず、大規模企業的農業への移行という古い発想から目覚めていません。
世界各地で始まっているタネを守る運動
「シードバンク(種子銀行)」農家間のお金を媒介しないタネの交換や寄付が可能であったり、農民間のタネの交換ネットワークが拡がっている動きも見逃せません。
共通戦略アグロエコロジー
タネの多様性を守り、生態系の力を活用した農業こそが解決策になるというもの。
化学肥料や農薬を使わないアグロエコロジーを適用した小規模農家が農薬や化学肥料を大量に使用した農法よりも生産性を上げることができるため成功するケースが高く、多様性のあるタネの環境も守られ、先祖代々受け継いできた農地も保たれ、安心して農業を継続できるものであると言えます。
種は私達のいのちそのものであり、公共財産でもあります、そして、私達には、食料主権、農民主権があること、これらの権利を主張していく。食を選べない子ども達が一番の犠牲者であり被害者にならないようにしていくことも、大人の役割だと実感しました。種子法廃止による影響にまだ気づいていない方々へ正しい情報を発信し、自分事として、共に考えていく機会をこれからも継続していきます。
国会でも、種子法廃止による新たな法案が示されています。私達の尊いいのちをつなぐタネを守るためにも、作り手の農業者と食べ手の私達市民が分断されることのないように、今後の動向も注視していきたいと思います。