2/7 ハテナサロン「どうしたらいいの?知的・発達障害児者の性教育」

2/7 東村山・生活者ネットワーク主催
ハテナサロン性教育第3弾企画
「どうしたらいいの?知的発達障害児者の
性教育」をテーマに開催。
64名の方にご参加頂きました。
ありがとうございました。講座の中で引用させて頂いた文献や子ども達への取り組み事例は、個人が特定される恐れがあるため学校名などの掲載は控えさせて頂きました。性教育のオススメ本のみに致しました。ご了承ください。

講師の門下祐子先生は、宮崎県の特別支援学校教員のご経験を経て、今は筑波大学、東洋大学で障害児者の性教育等に関する調査研究を重ね、あらゆる場面で情報発信されています。障害への理解にもつながる活動は、本人、保護者に取っても、尊敬できる大変有り難い方です。

今回の講座内容のポイントは、
性教育を受けることは、基本的人権!
「寝た子を起こすな」ではなく、 「どう科学的に起こしていくか」を道徳、規範の押し付けにならないように、関わる人達みんなで個別具体な対応を考えていくこと!

日本の性教育の歴史は、
純潔教育から始まり、1992年性教育元年には男女の体の特徴、母体内で成長して生まれるなどの学びをやっと開始!

そして、みなさんもご存知と思いますが、2003年に都立七生養護学校への性教育バッシング!3人の都議による養護教諭や校長への非難行動による政治的介入がありました。それまでは、都立七生養護学校の視覚的な要素を取り入れた手作り人形を使用した性教育は、他の学校の教員への研修にも活用されていました。七生養護学校の子ども達は児童虐待を受けてきた知的障害児が多く入学しています。被虐待児でありながら、施設等で新たな性虐待を受けている実態があることを重く受け止め、教員達が性虐待から子ども達を守るために考え出されたものです。

この性教育バッシングは裁判にもなり、最終的には、学習指導要領を逸脱するものでないとの司法判断により教員側が勝訴しています。これは国も認めた性教育なのです。

子ども達に自分のからだは自分のもの。誰にも触らせていけないよと養護教諭を中心に、子ども達にわかりやすく歌で身体のプライベートパーツが分かる「からだうた」や人形を使った生と性を教える人権教育に根ざした日本では類を見ない授業でした。

この事件以来、特別支援学校、特別支援学級への性教育は行われなかったに等しく、失われた15年と言われています。

一方、門下先生が勤務されていた宮崎県の特別支援学校では「性教育推進委員会」が設置されていて、「全教員が性に関する教育に取り組む」をキーワードに、教員・保護者などとの連携や情報共有を重ねながら、「私たち一人ひとりが多様な性を生きている」を前提に、男の子らしくとか女の子らしくといった男女の区別に重きが置かれがちな反省を生かし、指導事案やツールが策定されていたそうです。

保護者が性について話し合う場もあり、障害児を育てることに懸命な毎日の中で、タブー視されやすい性の悩みを話あえるのは、一人で悩まなくて済みます。ほんとに救われる想いがします。主体は今を生きる子ども達であることが明確で羨ましい限りの学校運営がされていたそうです。

知的障害のある人の1番の課題!下半身を触る、性器いじりについては、性器いじりはネガティブな印象を与えてしまうので、性器さわりは性器タッチと捉えることでセクシュアリティに対しては、ダメだよと注意するのではなく、その行為を肯定的に捉えた一人の人間としての性の権利を尊重したアプローチが必要との見解でした。
どこでどのような時にタッチをしているかの実態把握をした上で、個別に最適な対応を共に考えていく。

自閉症ASD児者への性教育をライフスキルとして
みんなと仲良くしようは危険。
嫌われることを恐れて、断りきれずに、性的行為を強要されるなど性被害に遭いやすい可能性があります。
はっきりと
「嫌なことは嫌だと言っていい」
「その場から逃げてもいいよ」
「無理をしてまで、一緒に居なくていい」
と伝えるのは重要!

知的を伴わない発達障害の子どもには
知識の不足より、周囲の状況が察知しにくい障害特性により、不適切な行動を引き起こしていると想定される。
障害特性を考慮したアプローチやプログラムが必要ではないか。自分ならどう対処するかをロールプレイの手法を取り入れてみる。

「距離感」が保ちにくい、近づきすぎることも課題だが、セクシュアリティ教育ガイダンスのテーマには距離感は入っていない。距離感をタッチに置き換える。タッチは良いタッチと悪いタッチがある。タッチの学びがふれあいの学びへ展開する。心地よいふれあいの快体験を積む。

禁止や抑制ではなく、人権教育としての性教育を!
セクシャルコミニケーションは、規範でなく、あくまで本人の思いを中心に考える!
学校教育だけでなく、ライフステージに応じた支援を!

ある特別支援学級の性教育、性の勉強
題材:体の名前を覚えよう、男女でおしっこの仕方がなぜ違うんだろう?月経や夢精って何?赤ちゃんはどうやってできるんだろう?
きらきらタイムやふれあいサイコロゲームを取り入れて、ふれあいは不要不急ではないので、ウィズコロナを考え工夫してふれあいを保障し、性についての学びを子ども達のペースで進めています。

肢体不自由児に対する取り組み
心地よいふれあいは生きる原動力になる。
新型コロナ感染予防で直接的なふれあいは制限されているが、少し離れても、お互いの様子を見て、感じ合い、学ぶあうなどのふれあいが広がっている。子どもが見せる小さなふれあいに気づいて声にしていくことを実践されています。

セクシュアリティは教えるものでなく、学び合うもの!
包括的セクシュアリティ教育は、子ども達の「性の権利」や「学ぶ権利」を尊重し、子どもの実態や興味関心から出発する!

包括的性教育ガイダンスは、一つの目安。

子ども、若者、教員、保護者、地域住民、助産師、産婦人科医、保健師、看護師など具体的な人々こそが、共同の主体である。
「包括的性教育は協働で実現する😊」

学び多き充実した時間でした。
私達自身も、性について悩みや問題があっても、それは恥ずべきもので、あまり人に話すべきではないとの雰囲気の中で、性教育をちゃんと学んできていない現実があります。

一人一人違う、それぞれのセクシュアリティがあって当たり前の社会に!誰も一人だけでは生きられません。
周りと良いことも悪いことも分かち合っていけば、幸せな(well being)な時間と空間になります!

障害の有無や性別、人種、性的指向などで差別や偏見を生まない! 性と生の多様性を認め合う社会になるよう今回の学びを生かしていきます!

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