千代田区麹町中学校 画一的な学びから多様な学びへ
「多様な価値観を持ち、インクルーシブな学びに変えていく学校教育を」
2/18生活者ネット子ども部会のメンバーで千代田区立麹町中学校学校公開に参加。
一年生は、まだ力があり余っていて元気な授業風景。
2.3年生は、活発に授業に参加していました。タブレットも有効に活用されていました。
途中で学校の話を聞かせてくれた三年の生徒は、一年の時は、一斉授業の型式でしたが、二年になり学校の教育方針が変わり、両方のやり方を経験した貴重な存在です。
自律を促す様々な工夫(企業へのインターンシップやヤングアメリカンズなど)があることで、自分の学びを見つめ直すことができたといってました。高校受験の面接の練習にも、校長先生が立ち会ってくれたり、学校がほんとに楽しいと笑顔で答えてくれました。
講堂で工藤校長の「学校教育を本質から問い直す」〜そもそも目的って何?〜
熱い熱い4時間に及ぶ貴重な講義。
今の学校は、軍隊のように一斉に号令で立ち上がる。服装の乱れが心の乱れになると生活指導する教育をしている。
手段が目的化しているなど本来の問題と向き合わず、他人のせいにする大人が教えていては、子どもは自律しなくなる。自分で考えない子を育てている。負のスパイラルに入っていることを自覚し、真逆の価値観を持つ。
授業中は、寝てる子、教室に入れない子がいる。子どもが苦しんでいることが問題。
ここを変えるために公立中学の改革を行ってきた。多様性を認め合う。
高圧的な学校はいらない。
AIも企業の協力で無料で提供を受けている。タブレットqubena は、誤答パターンを提示し、どこがわからないのか導いてくれる。小3まで戻れる、学び直しができる。
解らない時は聴きながら、生徒同士が教え合える。まさに、アクティブラーニングの実践。塾の問題集などを聞くのもokなので勉強が進んでいる子は、先にいける。
「子どもの学びに目を向ける」
8ヶ月勉強しない、教室で寝ていた子に、
スイッチが入った。そこからは、目覚ましい成長を見せた。その子のペースで待つことを教員が周りが学ぶ。
ディスレクシア書き字障がいの子には、漢字の書き取りの宿題は苦痛。宿題もなくした。定期考査もなくし、小テストに切り替え、学ぶ範囲が狭ければ間違いを探しやすい。小テストの点数に納得いかない場合は、再テストで点数が上がれば、その点数を採用している。桜丘中学校と同じ仕組みです。
今の課題である担任制は、コミュニケーションが得意な教員は有利、生徒や親とも関係性築きやすい。一方、コミニケーション苦手な教員は、不利になる。
全員担任制にすれば、コミニケーションの得手不得手も解消できる。うちのクラスではなく、子どもを比較しなくなり、学級対抗も必要なくなる。一人一人の子どもを見るようになる。チーム医療のイメージ。
例えば、先生と合わない時、生徒も回避できる。課題がある時、誰かの責任にしない。みんなで考え、合意形成する土壌ができる。若い先生もベテランの先生と横並びで自由に発言できる。お互いが切磋琢磨していける。子ども達にも高影響を与えますし、多忙な先生方の働きかた改革にも繋がると感じました。
麹町中学校の最上位目標は、自律・尊重・創造
学校は、社会に出る準備期間。
一年生は、リセットするリハビリの時期。
一年生の時はいじめだらけ。
2泊3日の宿泊で、ワークショップなどで協力することを学ぶ。
7月を境にお互いを俯瞰して見られるようになり、いじめはなくなっていく。
違うから対立する。イライラすることは、ごく当たり前の感情。対立を予測していく。
当事者意識を持つこと。他人事にしない。みんな違うこと、お互いの存在を尊重し、対話を繰り返しながら、全員が大切にすることを、両立させていく。
障がいのある無しに関わらず、個々のニーズに合ったインクルーシブな社会、SDGsの誰ひとり取り残さない開発目標につながっていく。
脳科学技術の観点からの考察もダメだ、ダメだと押さえつけると、感情がコントロールできなくなり、前頭葉が発達しなくなる。
自律脳にするには、心的安全状態を意識したワードを使う。
ポジティブワード/失敗しても大丈夫だよ、失敗こそが大事な学びだよ!
ネガティブワード/あの子はダメだなあ!
問題は一緒にいれば起こるもの、トラブル、いじめなどを、学びに変えていく。
麹町中学校の支援方針
○今、君はどんな状態なの?
○君は、どうしたいの?
○先生は何を支援すればよいの?
授業中抜け出したりしても、理由があるはず、だから怒らない。
生徒は授業中持ちそうもない時は、先生に気持ちを伝え、別の場所で学ぶのもあり。
画一的な学びから、多様な学びへ!
答えは一つと思い込まされてきた。エラーが許されない学校教育を変えるには、トライアンドエラーを、当たり前に!
教員同士で小さなところからブレストを始めてみる。お互いの意見を否定、批判したりせず、対話を繰り返すプロセスも大事。
すべての学校がそうなれば、子どもの自律は進み、分けずとも、自ら学ぶ環境も用意されていくと思いますと工藤校長の経験に裏打ちされた説得力のある講義でした。
千代田区という土地柄企業も多く、財政は豊かなため、他ではできない様々な創意工夫が可能とおっしゃってました。
これまでインクルーシブな学びや遊びを実践されてきた、みんなの学校木村泰子先生、明逢館高校の日野光三先生、桜丘中学校の西郷校長、東大プロジェクトROCKETの中邑賢龍先生、東大の潮見先生、子ども夢パークの西野博之さん、早稲田大学の喜多明人先生方の共通点は、子どものいのちを一番に考えている人達だと思う。子どもは誰のものでもない尊い存在。こどもが生まれながらに持つ権利を大人が認めていけば、学校教育は、変わっていけると思います。
私自身も当事者意識を持ち、皆さんと対話重ねていきます。