10/13 「虐待は社会の問題」講座に参加!


大和高田市議会議員南さんにお誘い頂き、埼玉県庁で
議員向けに開催された講座に参加しました。
テーマは、
「社会的養護を知り、児童虐待を考える」
埼玉県での取り組みを中心に、社会的養護の子ども、若者自立支援委託事業をされている一般社団法人コンパスナビ 蟻田晴彦さんの進行で始まりました。

社会的養護とは
様々な事情により両親や家族と一緒に生活ができなくなった児童(児童福祉法では、0歳〜18歳未満)を、保護者に代わり公的責任の下で養育することを言う。
その判断をする役割が児童相談所です。
社会的養護は、「子どもの最善の利益のために」
「社会全体で子どもを育む」を理念として行われています。

児童養護施設とは
社会的養護の下にある児童は、その状況や年齢などにより、複数の児童福祉施設(児童養護施設、自立援助ホーム、乳児院、児童心理治療施設、児童自立支援施設、母子生活支援施設、里親、ファミリーホーム)に分かれて生活しています。入所理由は、虐待・ネグレクト(貧困・親の精神疾患などの理由による育児放棄)が6割を占め(他に、親の入院、経済的理由、離婚、死亡など)、大きな問題となっています。令和2年度、施設や里親等の下で生活している児童は、
約44000人、児童養護施設では約25000人が生活しています。

虐待等相談件数と割合(令和元年度)
相談件数193780件
身体的虐待 25.4% 49240件
ネグレクト 17.2% 33345件
性的虐待   1.1% 2077件
心理的虐待 56.3% 109118件
社会的養護下にある児童44000人のうち、半数以上の児童が虐待を受けた経験があるという調査結果もあります。児相と警察の連携強化、189(いちはやく)による通報が広く知れ渡り、虐待相談件数が毎年増え続けています。

児童相談所の状況(令和3年度)
児童相談所の設置数:225ヶ所
一時保護所の設置数:145ヶ所
児童福祉司の配置員数:4553人
児童心理司の配置員数:1800人
一時保護所では、相談件数に比例するように年々増え続けています。1日あたりの保護人員数約2000人ほどの児童が常に保護所にいます。
昔、一時保護所は懲戒所と言われ、非行少年を収容する場とされていたため、今でも連絡手段を断つために、持ち物は全て預けなければならず、学校にも行けません。子どもの権利を保障するために懲戒権の改正が望まれます。

子ども虐待に至る恐れがあるリスク要因
保護者側、子ども側、養育環境それぞれに個別の又は社会的な問題が存在しており、見極めが複雑になっています。

巣立ち後の要因
虐待を受けた子ども達は心に深い傷を負っている。
自己肯定感が低い。生まれてこなければよかった、生きていても仕方がない。
愛着障害がある。
信頼できる大人を常に探している。
施設や里親では「育て直し」がおこなわれます。
大人になっていく過程で寄り添い、長時間相談に乗る人や相談先が必要です。

児童虐待とは、少子化や貧困、家庭崩壊と深いところでつながっている社会問題です。虐待されている子どもを救おう、子育て中のお母さんを応援しようという認識は共有されつつありますが、虐待を受けた子どもが大人になり家庭を持つまでの一生を、連続して支える応援策も、国や市区町村、地域社会で作っていくべきだと考えています(オレンジリボン運動より)。

児童虐待相談対応の内訳
虐待相談対応件数 193780件
一時保護      30264件
施設入所等      5029件
一時保護されても、約8割強の児童は家庭に戻されています。観察しながらの家庭での生活が大丈夫との判断や受け皿である児童養護施設、里親の受け入れ数が足りないなど社会的養護を取り巻く環境は、解決が難しい課題が山積しています。

18歳で自立して終了ではなくそこからが本当の始まり。しかし、福祉の枠はない!

社会的養護にあった子ども達は、高い就職率、低い進学率、高い高校中退率も目立つ。

施設や里親から巣立ってからも、寄り添い、継続して支え続ける支援策が必要!

まとめ
虐待の未然防止
○子育ての親の悩みを受ける児相の相談窓口を中心に
その機能を地域に拡げる。教育との連携強化
○社会的養護の受け皿を増やす
里親やファミリーホームを増やす
施設職員を増やす
○社会的養護出身者や虐待経験者達へのアフターケアを充実。居場所作り、相談場所作り→ボランティア活動を活性化。福祉としての制度化(法律改正や条例制定の検討)

埼玉県は、児童養護施設退所者へのアフターケアを一般社団法人コンパスナビが受託し就労、住居、自立・生活・居場所事業の場のクローバーハウスは、虐待経験者であるブローハン聡さんも活動に関わるなど、支援環境が充実しています。運転免許取得助成、自宅にネット環境がない場合に生活クラブ福祉活動緊急助成を活用した無料貸し出しも行っています。もう一人の虐待経験者である山本昌子さんも、児童養護施設退所者向けの晴れ着撮影ができる「あちゃプロジェクト」を行い、様々な相談に乗っているそうです。山本昌子さんが尊敬する保育士の先輩のあちゃさんからお名前を頂いたそうです。

児童養護施設や自立援助ホームを卒所すると孤独感が募るが、「死にたいを生きたいに変える」、「生まれてくれてありがとう」、「自分は大切な存在」と思えるよう活動しているそうです。

東京都と比較し、18歳後も切れ目ない支援となるようアフターケアの充実が進むよう改善点を提起していきます。

午後からは、東村山市にあります国立ハンセン病資料館へ。
誤った国策による強制隔離や人権蹂躙の残酷さや悲惨な現状であった史実を見学して頂きました。
ハンセン病を恐れるあまりハンセン病に罹患した人まで排除したことが大きな悲劇を生みました。
旧優生保護法により断種手術や子宮摘出手術が強制的に行われ、嬰児はホルマリン漬けにされていました。

尊厳回復の碑や納骨堂や東村山市とハンセン病療養所自治会と交わした人権の森宣言などをみて周り、お休み処なごみで食事をし、全国ハンセン病療養所事務局長の藤崎さんからもハンセン病がもたらした人権侵害についてもお話を伺いました。

どんな状態にあったとしても、ありのままの自分で生きていける、いのちが大事にされるまちづくりを目指していきます!

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